社長のひとり言
フルムーンツアー
フルムーンツアー
2009.10月
5日間、妻と北海道旅行に行ってきました。某旅行社のフルムーンツアーです。申込の決め手は、飛行機に乗らないこと、すべて禁煙車、新幹線のグリーン車、などもありましたが、最大の決め手は、妻が北海道に一度も行ったことがなかったことと、仙台より苫小牧までの特等船室による船旅に憧れたことでした。船で一泊したことはいままでも何回かありましたが、すべて2等船室のじゅうたん敷きのザコ寝か、良くて4人部屋の2段ベッドでした。子供の時に父の実家の松山に行ったときなどは、船室、甲板とも寝るところがなくて、甲板の救命ボートの中で寝たこともありました。今回の船旅は、レストラン、カラオケボックス、大浴場、劇場での映画、マリンバとピアノの生演奏などもついており、少しリッチで優雅な気分にさせてもらいました。船室はビジネスホテルのツインのようなものですが、なんといっても窓から大海原が望めるのは、船旅の醍醐味であると久々にワクワクしていました。ツアーのスケジュールも苫小牧港着が午前11時ですから、朝からバイキングを腹いっぱい食べ部屋に戻ってまた朝寝と、まさに大名気分でこれから先の北海道の旅に想いをはせ、妻と二人で幸福感に浸っていました。
しかし、4泊5日のこの旅行、天国気分でいられたのも、ここまででした。予めスケジュール表を頂いてはおりましたが、苫小牧から稚内までのバスと列車、午後7時過ぎのホテル到着、翌朝5時起きの6時集合、6時半頃出発の礼文島行きのフェリーの2等船室、観光客で超満員です。ザコ寝も出来ません。天国から地獄とはこのことでしょうか。特等船室での旅への想いはバブルのごとく消えていきました。たしかに、礼文島や利尻島の風景は本州では見ることの出来ない、なにか異国を感じさせるものがありましたが、その強行スケジュールに辟易して2日目にして、私はもう家に帰りたいと思い始めました。
私たち夫婦は私がまだ学生の時に、ヨーロッパツアーで出会い、長い長い春を経て結婚しました。以来、この年まで旅行には行ってはいましたが、ツアー(他人との団体旅行)には参加したことがありませんでした。妻ともども実に35年ぶりのツアーでした。未熟というか、経験不足というか、考えが甘かったのでしょうか。それでも、妻が礼文島の風景にいたく感動して喜んでくれたことが唯一の救いでした。その妻も翌日、花の咲いていない富良野にまたまた強行スケジュールで着いたときは、猛烈に不機嫌になっていました。花好きの妻にしてみれば、花のない畑の風景などはネタの乗ってない握りずしのようなもので、見るに耐えないものであったかもしれません。しかし、よく考えてみれば富良野といえばラベンダー、でもそのラベンダーが10月半ばまで咲いているわけがない、ということにどうして気付かなかったのか、やはり経験不足だったのでしょう。
そんなこんなでずっと不満を持ち続けた私たち夫婦ですが、ほかの15組ほどのツアー仲間のご夫婦が列車、バスの中で私達のような不満を口にしているのを見たことがありません。唯一、妻が登別温泉のお風呂の中で聞いたのが「こんなのまだましよ、カナダに行った時なんか、朝食に腐りかけのリンゴが一つとかび臭いパンが一切れ出ただけよ」と70歳位のご婦人が話されていたそうです。ということは旅の経験豊富な方たちは、今回の旅行に結構満足されておられるのではと推察しました。この話を聞いて私は自分の未熟さに気付きました。この不景気に北海道旅行に行けることだけでも、どんなに恵まれたことか。ほとんどのご主人の寡黙で、背筋を伸ばして、席はいつも通路側、この方たちを紳士と呼ぶのでしょうか、この方たちからも学びました。
不満を口するのは見苦しい、男は黙って歩くのみ、とこんな想いが今頭をめぐります。不機嫌の妻も登別温泉の窓からの紅葉を眺めてからは、どうやら機嫌が直ったみたいです。






