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社長のひとりごと

申し訳ありません

 弊社の行動指針にも「感謝、寛容、謙虚、誠実の四つを忘れません」とありますように、誰もが感謝の気持ちを持つことの大切さを口にします。このことを否定する人は、まずあり得ないのではと思います。そして「ありがとう」と言います。ところが「申し訳ありません」

「スイマセン」を口にしない人は結構います。

 辞書で感謝の「謝」の意味を調べますと、「あやまる」と「礼を述べる、ありがたく思う」の一見、相反する二つが書いてあります。しかし感謝の謝の字は謝罪の謝でもありますから、全くその通りに私たちはこの言葉を使っています。日本では、店内で、お店の人を呼ぶときほとんどの人が「スイマセーン」と言います。この場合のスイマセンは謝罪でしょうか?それとも感謝でしょうか?と質問すれば、なぜお店の人を呼ぶのに謝罪しなければならないの、なぜ、お客の僕が、店員に感謝しなければならないの、感謝すべきはお店の人じゃないの?

と考える人が意外に多いのではないでしょうか。しかし、この考え方は間違っています。

この場合のスイマセンは確かに謝罪ではありません。しかし、お客だからお店の人に感謝する必要はないという考え方は、本来の日本人の考え方ではありません。

 私たち日本人は、人に何かしてもらった時、「ありがとう」と言います。その時、心の中に「申し訳ない」という気持ちが必ず湧き起ってくるものなのです。なぜなら、してもらったことに対して、まだお返しをしていない、そのことに申し訳ない、と思うのです。したがって、申し訳ない、スイマセンは感謝の言葉と同じことなのだと私は思います。だからお店でスイマセーンと呼ぶのは実は、これからしてもらうことに対して感謝の言葉を先に出しているのだと思います。素晴らし伝統であり文化であると誇らしく思います。

 人間は一人では絶対に生きていけません。必ず誰かに迷惑をかけながら生きています。そもそも人間の存在自体が、他の人々に迷惑をかけているのだ、ということを私たちは知る必要があります。受験競争に勝って、志望校に合格した陰で、不合格となり泣いている人がいます。ビジネス競争に打ち勝ち、市場での占有率を上げたら、その市場から淘汰される企業が出てきます。競争があるから世の中は進歩するのだ。たしかにそうでしょう。しかし、競争相手があるから競争できるのです。その競争相手に感謝することを忘れては、いつの日か自分が競争に敗れ去り淘汰されることになるでしょう。

 私は何も悪いことはしていない。だから謝る必要はない。と考えてはいけません。自分の存在は存在するだけで世の中に貢献していますが、同じくらい迷惑もかけているのです。

だから、その存在を許してくれているすべてのことに感謝しなくてはいけないと思います。その時に言う感謝の言葉は、「ありがとう」であり、「スイマセン」であり「申し訳ありません」です。そうです。日本語の「申し訳ありません」は感謝の言葉なのです。皆のお蔭で生きている。いや、生かされている。そのことに、感謝する心を持ち続ける時、人は必ず心の平安を得られるのではないでしょうか。さあ皆さん、感謝の気持ちを言葉で表しましょう。「ありがとう」そして「申し訳ありません」と。


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