セレクトホームは兵庫県産木材を使用した外断熱の家を中心に建てている工務店です

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住宅一口メモ

代表脇長のお届けする住宅一口メモ

~吹付断熱への危惧~

最近、吹付断熱している家をよく見かけるようになりました。この断熱方法は、自動的に気密施工を行うことになり、一石二鳥でいわゆる高気密・高断熱になります。このことは良いことで何の問題もありません。しかし私はこの断熱方法に少し心配な点があるのを危惧しています。そういう私も実は約10年前に1棟だけ施工したことがあります。その時はまだ吹付断熱がウレタン発砲で、その主原料がイソシアネートであるということを知りませんでした。全く研究不足、努力不足でした。大いに反省しています。
初めての断熱材でしたので、施工時に立ち会いました。施工の職人さんは防護服を身に付け防護メガネ、防護マスクの完全装備でした。私は思わず職人さんに聞きました「そこまでやらないといけないの?」職人さん「ええ決まりですし、第一、危険ですから」と、こともなげに言われました。たしかに現場発泡する液体が身体に付着したり、目や耳や口に入ったら大変です。その時は、もっともなことだと思い何の疑問も感じませんでしたが、しばらくして、いや待てよ、そんな危険なものを幸せの器である家の中に入れてもいいのかな、との疑問が湧いてきました。多分に情緒的な感情で、科学的に危険であるという裏付けがあるわけではありません。私は化学者ではありません。ただのいち工務店の人間です。したがって私の得る情報は書籍やインターネットからがほとんどです。ネットでイソシアネートと検索すると恐ろしいことがいっぱい出てきます。どうやら処理方法を誤ればかなりの有害物質になるということは間違いないと思います。私は第2のアスベストになりはしないかと心配しています。これが杞憂であることを祈るのみです。

(吹付断熱施工中写真)

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次に下図をご覧ください。

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皆さんは防水型スマホや携帯が内部結露するのをご存知ですか。結露の原因はもちろん水蒸気がその中に侵入しているからです。建築材料に防水透湿シートというものがあり、ほとんどの木造住宅で使用されています。これはその字の通り、先ず防水ですから水は通しません。しかし、透湿ですから水蒸気はバンバンに通します。つまり水は入らなくても、水蒸気は通るのです。理由は簡単です。水と水蒸気とでは、分子の大きさが全然違うのです。ですから、水蒸気は壁紙や石膏ボードを透過してガンガン中に入ります。柱と吹付断熱の間にもスーっと入っていきます。もしそこで結露したらどうなるのでしょうか。恐ろしいことです。壁体内結露の恐ろしさは言うまでもありません。カビが繁殖したり、木材が腐食したりします。一言で言えば“家が腐る”ということです。家が腐ってしまえば、どんなに耐震金物を施工しても、全く意味はありません。地震が来ればひとたまりもありません。
本来の吹付断熱の最大の長所である、断熱と気密を同時に確保するという、そのこと自体が短所となってしまうのです。壁の中に隙間なくギッチリと吹き込んだ断熱材が、隙間がないがために、敢えて、そのすき間に入り込んだ水蒸気が結露となってしまうリスクがあるのです。しかもやっかいなことに、壁内じゅうに隙間がないため、点検のしようがありません。室内側に壁内の点検のための点検口を設置しても、壁の中は動かせない、へばりついた断熱材で充満しています。長い年月の経過とともに、建物にはどんな事態が発生するか分かりません。予測できないようなことが起こるものです。雨漏り、水害による床上浸水があった時どうするのでしょうか。建物の命は壁の中、床下、小屋裏、天井裏と見えないところにあるのです。必ず、その部分が点検できるようにしておかなければなりません。
床下、小屋裏へは人間が割と簡単に入って点検できる状態、そして壁の中、天井裏は点検口を設置して、いつでも見られる状態にしておくのがベストです。間違っても、そこに何かものをギュウギュウに詰め込むことは、将来必ず災いのもとになりうると考えます。
(詰め込んだものが、簡単に動かすことが出来るのであればOKです)

最後にお伝えしたいことは、壁の中いっぱいに吹付断熱したら、木材の持っている香りや調湿機能が大きく損なわれてしまうということです。杉やヒノキの無垢の柱は管柱1本で500ccもの水分を吸ったり吐いたりできると言われています。家全体では、理論上ですが、なんと200ℓもの水分の調湿機能があります。(構造材の種類によります)吹付断熱とは、木材の表面に強力な接着性を持つ化学物質断熱材を吹き付けて、木材が息の出来ない状態にしてしまうのです。これでは木材の調湿機能は限りなくゼロに近づいてしまいます。何のために木造で家を建てているのか、私には理解できません。それともうひとつ、木材は空気、それも僅かにでも動いている空気に触れさせておけば300年でも500年でも、その強度を保ち続けることが出来るのです。吹付断熱された木材の表面は水蒸気が入り込む隙間はあっても、動く空気に触れることはありません。吹付断熱によって、有害物質の揮発のリスクと、木材表面への結露のリスクを抱え、さらには木材の最大の魅力である香りや調湿機能までをも奪ってしまう化学物質のかたまりで覆い隠すということは、高気密・高断熱に名を借りた施主への背信行為と言わざるをえないでしょう。これらのことが杞憂であることを祈るのみです。

2016年9月
文責 健康住宅指導員 脇長敬治

~ZEH住宅の矛盾~

今年度より国は本格的にZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業)と称し、その家で消費するエネルギーを、その家で創るエネルギーで賄うことが出来る住宅に125万円の補助金を出す制度を始めました。(全ての家が125万円もらえるわけではありません)これ自体は、すばらしい制度であり私も大賛成です。しかし、一般的には、どんなにすばらしい制度でも、最初は必ず欠点というものがあります。これはある意味致し方ないことなのかもしれません。最初から完璧というものは、あり得ないと考えるのが現実的であろうと思います。まずは一歩を踏み出すことが重要であるとの考え方は正解です。
それでも、家づくりに携わる人間として、今始まったばかりのこのZEHに対して、どうしても納得がいかないことがあります。大きく3つあります。計算方法と壁体内結露と気密性能の3つです。

消費エネルギーを減らすためには断熱性能を上げる。この考え方に矛盾はありません。その断熱性能をUA値(外皮平均熱還流率)で表します。ところがUA値の計算方法というのは、断熱材の熱伝導率(熱の伝わりにくさ)とその厚みで計算します。(ここでは外皮面積は除く)つまり、断熱材を厚くすればするほど数値は良くなります。しかし単純に壁の中に断熱材をギューギューに詰め込んで断熱性能を上げようとするやり方は、言うまでもなく壁体内結露発生の最大リスクになります。私たちは1980年頃に北海道で起きたナミダタケ事件を忘れてはいけません。1970年代に起こったオイルショックを契機に、その当時も省エネが叫ばれ、断熱強化をし、結果、激しい壁体内結露で家は腐り、あるいはナミダタケという異様な植物?を床下、壁内、小屋裏という見えないところに大量発生させました。今、省エネルギーのテキストには室内に防湿層を設置することで、壁体内結露の防止を指導しています。

しかし、この防湿層の設置は理論上は正解ですが、実際上は不正解です。住宅施工の実際の現場で完璧な防湿層など絶対に出来ません。水蒸気を室内から壁内や小屋裏や床下へ一滴も漏らさないなどは、今の住宅施工では出来ません。もし、万一にでもそれが出来たとしても、それこそペットボトルの中に住んでいるようなものです。不快極まりない家になることでしょう。

もう一つは気密性能を計算上、一切問わないことです。断熱材をいくら厚く施工しようと、家が隙間だらけでは省エネにはなりません。断熱というのは気密があってこそなのです。高断熱・低気密住宅というものはあってはならないのです。高断熱・高気密が正しいのです。計算上の数値のみを追い、気密施工を怠っては本当の省エネにはなりません。また、高断熱・高気密であっても見えないところで結露を発生させるような家もあってはなりません。国は税金を使って125万円もの補助金を出すのであれば、これらの点を数値評価項目として、取り上げるべきではないかと思うのです。
また、住宅購入する方々にとっても、性能アップや申請費に125万円以上の費用負担が生じることもあるかと思います。ZEH住宅として採択されたからといって、手放しで喜んではいけません。上記で述べたようなことを自らが、住宅メーカー、工務店に確認する必要があることを忘れないでください。

2016年9月
文責 脇長敬治

~木材の効能、調湿機能~

主要な住宅の構造は木造以外では鉄骨造、コンクリート造があります。木造住宅が鉄骨造、コンクリート造と比較して、生活上、優れている点は、ズバリ木材そのものにあります。では木材の優れているところはというと、大きく二つです。調湿機能とにおいの効果です。 木材の調湿機能を示す実験データに以下のものがあります。6畳間全体を木材とビニールクロスで内装したものを比較したデータです。雨の日に矢印の時点で窓を開け、水蒸気を流入させます。そして2時間後*印の時点で窓を締めます。木材内装では、窓解放時に湿度は89%に達するが、窓閉鎖後に急激に減衰して、約1日後に55~60%になる。しかしビニールクロス内装では窓解放時に湿度は91%に達し、窓閉鎖後に温度の変動に対応して、25~90%の間を変動する。ビニールクロス内装の場合、室内の絶対湿度(水蒸気量)はほぼ一定のため、温度が上がれば相対湿度は下がり、温度が下がれば相対湿度は上昇するため、このような数値になります。それに引きかえ、木材は水蒸気を吸ったり吐いたりして、相対湿度を一定に保つ能力を見て取れます。

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105×105×3000ミリのいわゆる管柱1本で、ビール瓶中瓶(500ml)1本分の水分の調湿機能があると言われています。管柱の材積は0.033㎥です。40坪の家の木材の材積(全ての柱、梁、等の構造材)は約15㎥ですから、以下の計算式が成り立ちます。
15㎥÷0.033㎥×500ml=227,272ml(木材の調湿量)-①
40坪の家に含まれる空気の体積は約400㎥。その時の気温30度、相対湿度80%として、その時の絶対湿度量は
400㎥×24.269ml=9,707ml(40坪の家の中にある水蒸気量)―②
①と②を比較すれば、227,272ml÷9,707ml≒23倍という計算式が成り立つ。
これは40坪の家の空気の中に含まれる水蒸気の23倍もの調湿機能を持つ木材が、その家に存在するということです。この結果からみれば、計算上、家の中はどんな時でも快適湿度が保たれるということになりますが、実際にはそうなっていません。 次に、その原因を考えていきましょう。

1. 1本の管柱に本当に500mlの調湿機能があるのか?
考察:1本の管柱の体積は33,000mlです。500ml÷33,000ml=1.5%
一般に家に使われる構造材は乾燥材です。その含水率は15~20%です。
実験した結果データはありませんが、なんとなく、1.5%くらいだったら調湿してもおかしくないかなと考えられます。
2. そもそも今の家はほとんどが大壁造りです。(柱が壁の中に閉じ込められている)
梁なども、最近では少しずつですが現しにしていますが、建売をはじめ大手住宅メーカーの家で梁の現しはまだ見たことがありません。たしかに水蒸気は壁、天井の石膏ボードを透過しますが、材木の室内への現し状態と、壁内、天井裏、小屋裏に閉じ込められた状態とでは、その差は歴然としたものがあると推測します。
3. 材木の種類に違いがあるのではないかという疑問です。これも実験データがないので、あくまでも推論の域を脱し得ません。同じ木造と言っても、無垢の木と、集成材とLVL(積層板)では、接着材の使用の有無、使用量の多寡によって、当然違いが出ると推測します。当然のことながら接着剤を使用しない無垢の木が最も調湿機能があります。次に集成材、最後にLVLとなります。
4. 家の気密性能が悪いため、外部からいくらでも水蒸気が侵入してくる。これが一番大きいと思います。木材に調湿機能があるといっても、エアコンのように数分で効果を感じるというようなものではありません。上記の実験データでもわかるように、約1日かけて適正湿度になります。しかし、外部から侵入してくる水蒸気は、その家の隙間面積(気密性能)により大きく異なりますが、数秒から数分で侵入します。平たく言うと、夏場、隙間だらけの家では木材がいくら湿気を吸っても吸っても、外からいくらでも入ってくる、というのが実態です。

以上のことから、木材によって家を快適湿度に保つためには、
1. 気密性能を高める
2. 出来るだけ、柱、梁を現しにする。(真壁工法+梁現しが有効)
3. 内装材に無垢の木を使う。(杉、ヒノキがお勧め)木質化率(床、壁、天井の木質内装の割合)は60%が最適。それ以上高いと、睡眠効率が悪くなります。
4. 構造材は無垢の木を使う。

以上の4点はいずれもお金がかかりますが、少しでも予算を割いて実践することが、必ず、快適生活に間違いなく近づきます。

2016年8月
文責 健康住宅指導員 脇長敬治

断熱材1

住宅の断熱材についての分類ですが、材料による分類と工法(施工方法)による分類があります。ここでは、先ず材料による分類を記します。分かりやすいように広く認知されている総称と商品名とを混同して記します。

繊維状断熱材板状断熱材板状断熱材その他
グラスウール
ロックウール
羊毛
繊維状の圧縮板
ポリスチレンフォーム
(スタイロフォーム・カネライトフォーム)
硬質ウレタンフォーム
(アキレスボード、キューワンボード)
フェノールフォーム
(フェノバボード、ネオマフォーム)
ポリカーボネート
(ミラポリカ)
木質系
(炭化コルク、ウッドファイバー)
硬質ウレタンフォーム
アクアフォーム
アイシネン
セルロースファイバー(吹込み)

上記は住宅に使用される断熱材の代表的なもので、これら以外にも多数の断熱材が普及しています。ZEH(ゼロエネルギー住宅)が普及し始めた昨今、消費者の断熱材に対する認識も増々強いものが出てくると思いますし、また、そうでなければいけないと思います。 上記の断熱材にはそれぞれに特徴(価格、耐久性、熱伝導率、透湿抵抗、密度、燃焼性、調湿性能、リサイクル性 等々)があり、どれが素晴らしく、どれが劣っている、というような短絡的な議論は控えるべきです。ただ一つ言えることは、断熱材は家づくりに携わるメーカー、工務店のこだわり(ポリシー)と関連したものでなければならない、ということです。ただ安いから、熱伝導率が良いから、自然素材だから、調湿機能が良いから、気密がとりやすいから、シロアリに強いからというだけの理由で断熱材を選択しては、判断を誤ってしまう可能性があります。メーカー、工務店に「なぜ、その断熱材を使っているのですか?」という質問を投げかけ、即座に明解な回答が得られないようでは、少し心もとないと判断されても仕方ないでしょう。

2016年7月
文責 健康住宅指導員 脇長敬治

熱橋

皆さんは熱橋(ねっきょう)という言葉をご存知でしょうか。読んで字のごとく熱の橋ですから、つまり熱を伝える(伝導する)個体を意味します。
熱を伝えるとは具体的に言えば、冬、それを通して熱が逃げ、夏、それを通して熱が入ってくるということです。良い住宅の定義を「熱が逃げない、入らない家」としたら、熱橋は完全なマイナス要因になります。そして、熱が逃げない、入らないという家の性能を数値化したものを外皮平均熱還流率(UA値)といい、数値の少ないほうが性能が良いということになります。
熱橋は熱伝導率と密接な関係にあります。樹脂とアルミの熱の伝わり方は1000倍違うとは、よく言われることですが、すなわち樹脂(塩ビ)の熱伝導率は0.13~0.29です。一方、アルミは200~230です。計算式は200÷0.13≒1538倍 200÷0.29≒689倍 平均すると(1538倍+689倍)÷2≒1113倍ということで1000倍違うと言われるのです。
では断熱材の熱伝導率はというと、大体0.022~0.05くらいです。ここで注意しなければならないのは、断熱は熱伝導率だけで判断するのは間違いです。そのもの(材)の厚みが当然関係します。それを計算式で表すと 厚さ(m)÷熱伝導率=熱抵抗値(R値)
となりR値の大きさが熱の通りにくさを表します。

計算例  厚さ2センチのポリスチレン断熱材(熱伝導率0.028)のR値は
0.02÷0.028=0.71
厚さ4寸角(120角)の杉の柱(熱伝導率0.12)のR値は
0.12÷0.12=1.0

ということは厚さ20ミリのポリスチレン断熱材と120ミリ角の杉の柱を比べてみると、杉の柱のR値のほうが大きいのです。つまり、厚さ2センチの断熱材では断熱効果は薄いということです。
私は10年ほど前に鉄骨構造(熱伝導率約50)を20ミリの板状断熱材(ネオマフォーム)で外張り断熱した家を体験したことがあります。その家は真冬、エアコン暖房してしていましたが、室内温度はわずか10℃くらいまでしか上がらず、悲惨な状況でした。
まず20ミリという低レベルの断熱材に、躯体の鉄骨が断熱されていないベランダまで突き出ていたため、熱はどんどん外へ逃げて行ってしまっていました。完全な鉄熱橋でした。私たちは断熱を考える時、いろいろと考えなければなりませんが、熱橋も大事な要素であることを忘れてはいけないと思います。

2016年7月
文責 健康住宅指導員 脇長

気密~その2

一般的な4人家族が発生させる水蒸気量は1日で8ℓ~12ℓあると以前に記しました。今度はCO2です。人間が呼吸にともない吐き出すCO2の量は1時間に就寝中で13ℓ、生活中で20ℓです。快適空気を保つためにはCO2濃度を1000ppmに保つ必要があります。そのために必要な換気量の計算式は省きますが、結論として就寝時に20㎥/時、生活時に30㎥/時です。6畳の部屋は約10㎡で天井高は2.5m、気積は10㎡×2.5m=25㎥となります。6畳の部屋で一人が勉強していると、1時間に付、30㎥の新鮮空気が必要です。日本の今の法律では1時間に0.5回以上空気を入れ替えなさいとなっています。つまり2時間以内で全部入れ替えなさいということです。6畳の部屋で一人勉強していると、2時間で60㎥の空気を入れ替えないと、CO2濃度は1000ppm以下に保てません。1時間で0.5回ということは1時間で12.5㎥、2時間で25㎥しか入れ替わらないということです。これが就寝時の場合でも6畳に一人で寝る時には、1時間で20㎥入れ替えないと、1000ppmを超えます。20㎥÷25㎥=0.8回 つまり1時間に0.8回入れ替える必要があります。私は6畳に妻と二人で寝ていますから、40㎥/時必要です。そのためには40㎥÷25㎥=1.6回 すなわち1時間に1.6回入れ替えなければ1000ppmを超えます。換気装置のない部屋ですが、冬は締めきっていますから、CO2測定器をおいてみれば、朝は2000ppmくらいになっています。1時間に0.5回の入替では、実際には快適空気は得られません。国の偉い人もそれは分かっていると思うのです。6畳の部屋で、冬に外気と1.6回/時も入れ替えれば当然ですが少し寒くなります。結果、省エネとは反対に、多くのエネルギーを消費することになるのです。

今までの話は、一つの部屋だけをとって書きましたが、家全体の話をすれば、そんなに矛盾はありません。延床40坪の家の体積は、40坪×3.3㎡×天井高2.5m=330㎥です。330㎥×0.5回=165㎥すなわち1時間あたり165㎥の新鮮空気を、部屋だけでなく廊下もホールも納戸にも供給するのです。そして、寝室のCO2濃度が高まるときは、廊下やホールから新鮮空気を寝室に取り入れるのです。扉を開けてもOKですが、扉を開けるのが嫌なら、1時間当たり30㎥相当の換気量を持つ小口径パイプファンを居室と廊下の間に設置すれば、問題は簡単に解決できます。ただし、条件が一つだけあります。この家の気温がどこでも同じか、又は大差ないということです。そういう意味でも断熱、気密性能の高いものが当然、良いということになります。

2012年11月
文責 脇長敬治

気密~その1

前回までに熱の伝わり方と水蒸気の恐ろしさ(結露)を学びました。今回は気密のことを少し書きます。皆さんは太い毛糸で編んだセーターをもっていますか?冬、そのセーターを着て外に出ます。セーターの下は、長袖ポロシャツ、その下に下着の長袖シャツです。外気温度は1月の平均気温4℃です。風が少し出てきました。どうでしょうか?温かいですか?私は寒くて仕方ありません。そこで、安物の1枚980円のウィンドブレーカーをセーターの上から着ました。すぐに暖かくなりました。980円のウィンドブレーカーは薄っぺらのペラペラです。これにはセーターやポロシャツのような断熱性能はありません。ただ風を通さないというだけです。実は家における気密とは、このウィンドブレーカーのようなものなのです。いかに断熱材を重ねようとも、気密性能が悪ければ、決して暖かくはなりません。

気密と断熱は一体として考えるべきものです。
それでも、読者の皆さんの中には、こう考える人もいらっしゃるのではないでしょうか。

「気密を高めれば、なにか窒息しそうだし、風通しが悪くて、夏にはかえって暑くなるのでは?」と。窒息死するか、良い空気を吸って長生きするかの議論は翌月にします。今月は夏、暑くなるのではという不安について述べます。一般に高気密・高断熱の家は「エアコンが良く効きますよ」と言われます。たしかにその通りです。でも空調しなければ住めない家なんてなんか嫌だなあと思われるかも。私もそうです。真夏に3日間、ずっとエアコンの中にいましたら、全身のけだるさと、吐き気に襲われる、いわゆるクーラー病になった経験があります。妻もクーラーが大嫌いです。以下は南雄三先生著「断熱・気密のすべて」よりの抜粋です。読んでみて下さい。

"--------------人間は恒温動物で一定の体温を維持しなければなりませんが、外気温は大きく波打って、冬には体温よりずっと低温に、夏にはずっと高温になります。この様子を図にしてみました。

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真ん中にある帯(グレー部分)が人間が保たなければならない温度(快適温度)です。帯の幅は個人差や我慢できる範囲を示します。冬は寒さに慣れてきて少し低くなっていますが、夏はその逆で少し高くなっています。それでも外気温との差は大きすぎます。冬は裸のまま放置されれば死に至ります。

外気温は大きく波打っていますが、この波を快適温度に近づけるのが建築的手法です。難しい言葉になってしましましたが、要するに断熱・気密ということです。断熱・気密することで波は和らぎ、快適温度に近づいてきます。でもまだ少し快適温度まで届きません。この不足分を補うのが機械的手法です。つまり空調のことです。-----中略----外気温の影響をまず断熱・気密が和らげますが、それでも足りなければ空調の出番です。もし、断熱・気密だけで済むのであれば空調は不要です。-----------------"

 そもそも高気密住宅だからといっても窓を開ければ、その瞬間に気密ではなくなるのです。だからもし、窓を開けることによる通風(対流による熱移動が得られる)だけで、夏に快適さを得られたら、こんなにいいことはないと思います。それを最も実現しやすいのが高気密・高断熱なのです。なぜなら、夏の熱は窓から約65%、その他の部位から35%入ってきます。その他の部位とは、屋根、壁、床、換気のことです。特に屋根と壁から約30%も入ってきます。これを高断熱仕様にすることによって、半分以下から5分の1までに抑えることが可能となるのです。そうすることで当然、室内温度は高断熱でない家よりはるかに低くなるのです。また、最悪エアコン冷房するときでも、隙間だらけの家では外から確実に熱い空気がどんどんと侵入します。(クーラーで冷やすと室温は当然、外気温度より下がりますから、熱移動の原則で、熱は高いところから低いところへ移動します)これを専門用語で冷房負荷が大きいという表現をします。簡単に言えば冷房の効きが悪く、電気をたくさん消費するといことです。気密にすることによって反対に冷房負荷は小さくなります。

クーラー嫌いの方は高断熱・高気密にし、風通しの良い間取を考えるのも一手ですね。でも風通しを良くすることと、窓を大きくたくさんとることとは別物と考えて下さいね。また窓を大きくとるということは熱が入りやすく、逃げやすくなるということです。単純に快適温度だけを求めるのであれば、窓は小さければ小さいほど可能性は上がります。ただし暗くなります。

絶対に冷房は嫌という方には、私が勧める外断熱内気循環工法を採用し、エアコンを小屋裏に設置し作動させれば、エアコンの冷気に触れることなく、快適な涼しさを得られます。詳しくは別の機会に書きますが、どちらにしても、気密がなければこのようなことも実現できません。気密ってとっても大切なんですよ。次回は人間にとって最も大切な空気と気密の関係を書きます。

2012年10月
文責 脇長敬治

水蒸気と結露 その2~

前項で水蒸気は水と同じで、水蒸気圧の高いところから低いところへ移動する、これは宇宙の法則で一般の住宅では止めるすべがないことを記しました。夏は外から内へ、冬は内から外へ移動します。夏、外から内へ移動することについては、室内の不快感というものの発生はあるものも、壁体内の結露の発生(夏型結露)は、よほどのことがない限り、さほど心配する必要はないと考えられます。問題は冬型結露です。これはかなりの確率で発生します。そして家を腐らせます。これは防がなくてはいけません。以下にその方法を記します。

1.
充填断熱(内断熱)の場合、柱の外に透湿抵抗の高い面材(構造用合板、OSBボード、サーモプライ等)を張らない。張るのであれば透湿抵抗の低いもの(ダイライト、ハイベストウッド、ケナボード等)を張る。

2.
充填断熱材(内断熱材)にグラスウールやロックウールではなく、羊毛断熱材等の大きな吸放湿機能のあるものを使用する。

3.
外断熱にする。

4.
外断熱し、さらに壁体内の通気層を確保する。

5.
外断熱し、壁体内通気層を確保し、さらに通気層内を強制換気する。

以上、代表的な対応策を列記しましたが、これらはすべて木造軸組工法を前提としています。

ツーバイフォー工法は構造用合板を耐力壁として使用することが前提となっているため、壁体内結露の発生リスクはかなり高く危険です。鉄骨構造は鉄自体の熱伝導率が木材のおよそ800倍もありますから、もし鉄骨が屋外のベランダ部と屋内構造部とで一体となっていれば、激しく結露する可能性がありとても危険です。鉄骨構造では、内外部の鉄骨自体を確実に外断熱するしか外に、結露発生リスクを押さえることは出来ません。

ツーバイフォー、鉄骨造ともにたくさんの長所を持っていますが、こと結露に関して言えば、両方とも失格と断定しても良いと考えます。(これは一般論で、特別な装置や、特別な断熱を施せば、それは話は別です。しかし、現在私の知るところそのような住宅はまだ市場に出ておりません)

皆さんは携帯電話やスマートフォンの中に、調湿能力の高いシートが組み込まれているのをご存知でしょうか。これらの中にも水蒸気は易々と侵入し、結露を発生させ、機械を壊してしまうのです。だから、調湿シートを挿入し、これを防ぐのです。水蒸気をなめてはいけません。かっては、その力によって機関車を走らせていたのです。ものすごい力があります。どんなところにも侵入します。そして、結露を引き起こします。どんなに素敵なお家を建てても、腐ってしまっては元も子もありません。日本は地震大国です。いつ大地震がやってくるかわかりません。いかに耐震や制震を施しても、肝心の躯体そのものが腐っていては、何の強度も発揮しません。結露を徹底的に意識し、そして排除していきましょう。

2012年9月
文責 脇長敬治

水蒸気と結露 その1~

一般的に、梅雨の時期はジメジメして不快だと言われますが、私にはこの8月のほうがはるかに不快です。神戸の今年6月の平均気温は23℃で平均湿度は69%、8月は29.4℃で66%です。不快指数表(別紙)というものがあります。これに照らし合わせても、分かるように気温17℃~25℃の間は相対湿度が30%であろうと100%であろうと快適だということです。もっとも平均気温と平均湿度ですから、瞬間的にはやや不快、あるいは不快の範疇に入ることもあったのですが、それは全体から言えば僅かです。ですから6月は快適な季節と言えるのではないでしょうか。(雨が嫌いという人には不快な月です)8月は平均が29.4℃ですから湿度40%以上はやや不快、不快となります。湿度が40%以下になることはありますが、ほんの一瞬です。したがって、8月は不快な月と断定できます。

以上のことは全て外気温、外気湿度のことです。家の中とは別の問題となりますが、現実には外気の影響を大きく受けることになります。この時期、外気温33℃、湿度60%という状態はよくあります。絶対湿度表(別紙)を参照して下さい。この表は空気1立方メートルの中に、何グラム(何CC)の水が水蒸気として含まれているかを示すものです。33℃、60%の時は21gです。今、家の中は冷房しています。26℃まで冷やしました。除湿が無いものと仮定すれば、この空間に水蒸気がどんどん侵入し、エアコンで26℃を維持し続ければ、湿度は90%になります。不快指数表によればやや不快となります。26℃、90%の絶対湿度は21gです。外気と同じ量です。なぜこのような現象が起こるのか。

前回、"熱は高いところから低いところに移動する"との大原則を言いました。水蒸気も同じです。

"水蒸気圧の高いところから低いところに移動する"これも宇宙の法則です。簡単に考えて下さい。
"水は高いところから低いところに流れる"これと同じです。宇宙の法則は、すべてを平準化(平等に)しようとするのです。しかし、家の中を外と平等にされてはかないません。私たちは知恵を絞って、快適な空間を作り出さなければなりません。そのためには水蒸気の性質を知らなければなりません。水蒸気の大きさは一般的には1000万分の3ミリ~10万分の4ミリと言われています。この大きさでは金属とガラス以外の個体は、ほとんど通過できます。家で金属とガラスと言えば窓サッシです。ですから、窓サッシ以外のものは、すべて水蒸気は透過します。外壁も屋根も内壁も透過します。窓サッシといえども窓の外枠と内枠の隙間、内枠間どうしの隙間から水蒸気は入ってきます。水や風は通しません。でも、水蒸気は入ってきます。防ぐことはできません。どうすればよいでしょうか。答えは一つです。家の気密性能を上げるしかありません。水蒸気の侵入を防ぐことは不可能ですが、侵入量を減らすことと、遅らせることは可能です。

家の中で4人家族は1日に約12ℓ(12000g)の水蒸気を発生させます。延床120㎡の家の体積は120×2.5m=300㎥。室温20℃で300㎥の空間が含むことのできる最大量は、絶対湿度表から湿度100%で17.2gですから、17.2g×300㎡=5160g。一日の水蒸気発生量は12000gですから12000g-5160g=6840g。6840g=6840ccなんと一升瓶4本分の水蒸気がこの家では収容しきれません。この収容しきれない部分はどこかで水になります。これが結露です。窓ガラスなどの見えるところの結露ならまだ救いはあります。でも、見えないところで、特に壁の中で結露し続けたら最悪です。カビが発生し、ダニが発生し、腐朽菌が発生し、最後に家が腐ります。このような家が無数に存在します。そして今も造り続けられています。恐ろしいことです。

2012年8月
文責 脇長敬治

~熱、その2~

前回、熱の伝わり方に伝導、対流、輻射の3種類がある、「熱は高いところから、低いところへ移動する」、「窓の大きさと快適な温熱環境は反比例する」の3つを学びました。今回のテーマは、明るくしかも快適な温熱環境をどうやって造るかです。そこで、その前に一つ確認しておきたいことがあります。気象庁のホームページに全国の気象データが掲載されています。神戸の2011年の月ごとの気温(平均・最高・最低)平均湿度をみますと以下の通りです。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高 10.3 18.1 19.3 21.4 25.4 34.0 35.8 35.2 34.3 26.7 25.4 17.9
最低 -3.2 0.2 0.3 5.0 13.1 16.8 22.1 23.1 16.0 11.1 6.4 0.8
平均 4.2 7.5 8.0 13.7 19.5 23.6 27.4 28.8 25.4 19.9 15.7 8.2
平均湿度 59 64 62 63 70 80 77 73 73 66 63 58

注目すべき事実があります。最低気温が15℃以下の月(1月~5月、10月~12月)は8か月あります。最高気温が30℃以上の月(6月~9月)が4か月あります。皆さんは15℃以下で寒くないですか?30℃以上は暑くないですか?私は寒くて暑いです。つまり1年12ヶ月は寒くて暑い月ばかりだということなのです。もちろん、春らしい、秋らしい、すがすがしい空気に満たされた日々もあることは承知していますし、私もそういう日々が大好きです。しかし、現実にはそのような幸せな日々というのは、1年でもほんの僅かしかないということです。最低でも1年の90%は、とても過酷な気象条件のなかで暮らしていかなければならないという現実をこのデータが示しています。したがって、「自然と共に暮らそう」とか「自然と共生しよう」とか「外の清々しい空気を我が家に」などのキャッチフレーズは、現実を無視した虚言であると私は思います。どうして、0℃や5℃や35℃の外気と共に暮らせるのでしょうか。はっきり言って人命軽視もはなはだしい。だから、毎年2万人近くの人が、家で命を落とすのです。私の考えでは、家は外とは確実に遮断すべきもの、なぜなら家は、家族の幸せの器でなければならないからです。

前段が長くなりました。明るく、しかも快適な家を造る方法は以下の通りです。

①窓を含めた断熱性能を上げる
②夏の西日があまり入らない窓にする
③南面だからといって極端に大きな窓をとらない
④窓を含めた気密性能を上げる
⑤できれば外断熱工法で大きな小屋裏を造る
⑥屋根材や外壁材は出来るだけ遮熱効果の高いものを選ぶ
⑦サッシガラスに日射熱取得率の低いものを使う。

以上の7つを実践していただければ、あとはご希望の窓を入れて頂いても、満足していただける明るく、住み心地の良いお家が出来ます。要するに、家は高断熱・高気密にしましょうということです。それと、夏対策として屋根と外壁材は出来るだけ白いものを選んだほうが、必ず住み心地は良くなります。たとえば、屋根に黒や濃茶の瓦を載せますと、真夏の表面温度は70℃を超える時があります。反対にシルバー色のガルバリウム鋼板という金属屋根にしますと、最大で42℃くらいまでしか温度は上がりません。これは濃い色が熱をためこむ性質があるのと、白やシルバーは熱を反射する遮熱効果と、金属という熱伝導率の高い(熱しやすく冷めやすい性質)素材が、空気温度(気温)に熱を奪われていることによるものです。
次回は水蒸気の性質と結露のことを書きます。

2012年7月
文責 脇長敬治

~熱、その1~

冬暖かく、夏爽やかな空間を実現するために、学ばなければならない必要な要素は、大きく3つあります。熱の伝わり方、水蒸気の性質、気密の取り方の3つです。今月はこの熱のことについて少しだけ書きます。

熱の伝わり方は伝導、対流、輻射の3つです。住宅を例に簡単に説明しておきます。

黒い屋根が夏の太陽で熱せられ、70℃まで温度が上がります。その熱が屋根の下地の合板に、接触している部分から伝わります。屋根下地合板が60℃になりました。今度は屋根下地合板は接している垂木という材木に、その熱を伝えます。垂木は50℃になります。これらの熱移動は伝導です。今度はその熱は小屋裏空間があるため、直接接していない2階の天井地(石膏ボード)に伝わります。天井地の温度は40℃です。天井地の温度が40℃であれば、2階にいる人間は体温36℃ですから、その40℃の熱をもらいます。暑いです。垂木から天井地、天井地から人間に熱が移動するのは輻射です。2階にいる人は暑くてたまりません。扇風機を回します。少しだけ涼しくなります。これは扇風機の空気が、体の表面の熱を吹き飛ばしているからです。(汗を乾かすときの気化熱もあります)これは対流です。

簡単に書きましたが、実際には家は伝導、対流、輻射が個体、空気を介して、非常に複雑な熱移動を行います。ここでは、伝導、対流、輻射という言葉だけ覚えておいてください。

インターネットで「熱の伝わり方」と検索していただければ、解りやすい事例がたくさん出ています。伝導→湯呑が熱くて持てない。対流→エアコンで冷暖房する。輻射→たき火、太陽の熱等々です。

ここで皆さんに、絶対覚えておいてほしいことの最も大事なひとつは "熱は高いところから低いところに移動する"という宇宙の大原則です。冬、窓のそばにいると寒く感じます。窓ガラスの温度が15℃であっても、人間が36℃の熱をもっている以上、36℃の熱は15℃のほうに移動するのです。(輻射熱移動)冬、いくら暖房して部屋の温度を22℃まで高めても、窓がある限り、確実に熱は奪い去られて温度は下がり、人は寒く感じます。窓をすべてなくせば、熱は中々逃げません。暖かく暮らせます。夏も同じことが言えます。窓から強烈な熱が入ってきます。いかに室温を26℃に下げようと、必ず温度は上がります。しかし、窓をすべてなくせば、熱は入ってきません。とても涼しく快適です。

でも、家の中は真っ暗です。こんな家は見たことがありませんし、もし本当に造ってしまったら、恐ろしく息の詰まる、まるで牢獄と同じようなものになるでしょう。

ここで皆さんに、覚えておいてほしいことの2番目は、"窓の大きさと、快適な温熱環境は反比例する"という事実です。つまり簡単に言いますと、明るい解放感のある家ほど、暑くて寒いということです。それでも、暗いよりは明るいほうが良いと、多くの方は言いますし、私もそう思います。そこで次回は、明るくてしかも、快適な温熱環境を作るためには、どうしたらよいかを書いてみたいと思います。

2012年6月
文責 脇長敬治

~冬暖かく、夏涼しい~

「冬暖かく、夏涼しい」現在、多くの家が広告に、このフレーズを使っています。このフレーズは元々、高気密・高断熱でしかも外断熱・二重通気工法を採用していたソーラーサーキット工法が、そのキャッチコピーに使い始めたものと記憶しています。ところで、冬に室内気温が15℃で暖かく感じる人もいれば、22℃でも寒いとおっしゃる人もいます。同じく、夏に30℃で涼しいという人と、26℃で暑いという人がいます。したがって「冬暖かく、夏涼しい」は非常にアバウトな言葉で、すべての家がこの「冬暖かく、夏涼しい」をキャッチコピーに使っても、誇大広告、不当表示と罪に問われることはまずありません。しかし、上述の例は極端として、一般的には冬で20℃前後、夏で26℃(相対湿度60%以下)前後が常識的に快適といっていい気温であると思います。

 次に、冬20℃、夏26℃が家の中の、どの部分で、時間帯はいつ、ということが問題となってきます。冬、夜の9時、リビングがエアコン暖房で22℃になっています。多少、床と天井の温度差が気になりますが、まあ快適です。お風呂に入るため、廊下に出ました。そこは12℃、「おお、寒いなあ」洗面所で服を脱ぎます。そこが8℃、ブルッと来ます。浴室はなんと、4℃です。ブルブルブル!気合いだぁ!私の経験から言わしてもらえば、50歳までは、それでもまだ何とか我慢できます。でも55歳を過ぎたときから、この気温と温度差に、こう思うようになります。「いつか自分はヒートショックで死ぬだろう」と。-----朝になりました。午前6時30分、外はまだ暗いです。寝室の気温、7℃、布団から出るのが嫌だ!でも起きなきゃ、気合いだ!昨晩22℃であったリビングはエアコンを入れ忘れたため10℃でした。

夏、夜の11時、リビングにエアコンが効いています。気温26℃、湿度50%、とても快適です。さあ、もう寝よう、2階の6畳の寝室へ、気温32℃、湿度70%です。ムーっとしていて、このままではとても寝られません。エアコンをつけます。10分もすれば、快適温度と快適湿度が得られます。気温26℃、湿度60%、快適です。朝まで寝られます。しかし、50歳になってこのリズムを3日間以上繰り返すと、50%以上の確率でいわゆるクーラー病になります。朝起きると、体がだるい、のどが痛い、熱っぽい、私もなりました。治るのに3日間かかりました。

もし、冬、どの部屋も、洗面所も、トイレも、お風呂が、24時間、20℃前後で安定していたら、どんなに楽で快適だろう。全館空調でやってはダメです。膨大なコスト、不快な空気の流れ、上下の温度差にやがて辟易とするでしょう。夏、全館空調せずに、24時間、全室涼しくそして、爽やかな空間があれば、どんなに素敵なことでしょう。

これらは実現できます。(必ずしもソーラーサキート工法でなければならないということではありません)次回から、これを実現するための方法を少しずつ、お話ししていきます。

2012年5月
文責 脇長敬治

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